私には兄がいましたが、ずいぶん前に亡くなってしまったので、今は1人っ子です。
いつかはひとりで親を看取らなくちゃならないんだろうと思ってはきたけれど、それがどんなことなのか、具体的にはぜんぜんわかっていませんでした。
1人っ子介護は、単に大変というだけじゃなくて、本当に困ることもいろいろあります。
反面、助かることもあるといえばあるけれど。
そんな1人っ子介護、私の場合で気づいたことを、以下の順で挙げてみたいと思います。
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(1)1人っ子で困るふつうのこと
1.交替要員がいない
認知症の親と接していくのは、精神的にも身体的にもとても労力を使うし休みなしです。ずっと一人でやっていくのはとてもきつい。ヘルパーさんが来たりデイサービスに行ったりすれば、ちょっとした時間は取れるかもしれないけれど、それとは違う家族としての交代要員がいれば楽だろうなぁと思います。
2.自分が病気になったとき
インフルエンザとか、流行性胃腸炎とか、もし自分がかかってしまったら介護と感染の両方が心配です。
私はちょっとした持病もあるので、本当は定期的に病院にも行ったり薬をのんだりが必要なんですが、ついつい後回しになっています。でも具合が悪くなって入院・・・なんてことになったらもっと困りますよね。
3.手がまわらないこと
親が自分でできなくなったなら、親戚づきあいももあなたが考えてやらなければ・・・と言われたことがありますが、ただでさえ手一杯なのにそんなの無理!申し訳ないけれど勘弁してほしいです。
髪を切りに行く暇がないまま過ごしていたら、いつの間にかとってもロングヘアーになりました。
(2)1人っ子だと困るこんな場合
1.病院へ入院する時や介護契約の時
母が体調を崩し、とある介護施設へ臨時的にお世話になることになったときのことです。契約書には身元引受人が2名必要で、それぞれは別世帯でなければならないとありました。一人はもちろん私にしたけれど、問題はあと一人。私と同世帯の夫くんは不可。要介護の父もは身元引受人にはなれないそうです。契約書には、身元引受人は連帯責任を負うとあるので、つまりは連帯保証人。気軽に誰にでも頼めるものでもありません。
その後、病院に入院することになったときも、やっぱり身元引受人は2名必要でした。
私が以前入院したことのある東京の病院は、身元引受人じゃなくて、入院中に保証金を預ける制度でした。家族関係や人間関係が昔とは違ってきている現代では、このようなデポジット制のほうが助かる人も多いと思います。介護施設なんて、家族があてにならないからお世話になることだって多いわけだし、これからは、保証人か保証金かを選べるようになっていってくれないかなぁと期待します。
2.緊急通報先への記名
実家の町には、一人暮らしの高齢者を対象に「緊急通報システム」っていうのがあるらしいけれど、利用するには安否確認の協力員が3名必要なのだそうです。
でも、3人協力してくれる人がいるなら、そんな公的サービスにわざわざ申しこまなくても間にあうんじゃないのかなぁ~?と素朴な疑問を感じました。
「緊急通報システム」というのを見つけたとき、「こんなのがあるんだ~!ぜひ利用しましょ!」と思ったけれど、「協力員3名」という記載を見た時点でもう却下でした。
3.大事な決定をする時の不安
相談できる兄弟がいないのは、重大なことを決めなければいけないときにとても心細いことです。父を胃ろうにするかどうかを決めなければならないとき、介護施設を移すかどうか決めなければならなかったとき、判断力がなくなってきた母に意見を求めても頼りにはならないし、自分ひとりで決めて責任を負わなければいけないんだと思いました。そんな度に「おにいちゃん、生きててくれたらなぁ・・・」と思ったものです。
生まれたときから1人っ子なら慣れているのかもしれないけれど、途中まで頼りになる兄がいたのに、突然自分ひとりになってしまったせいか、兄弟がいる立場と今を比較してしまいます。
(3)1人っ子介護でのいい面?
世の中には介護のことや、その先の相続のことまで含めて、兄弟姉妹でのもめごとが結構あるのを見聞きしますが、ひとりだったらそういう心配は起きようがありません。一人で決めるのは精神的負担は大きいけれど、もめる心配がないからむしろ楽なのかもしれないと思うこともあります。